先輩がジャニーズJr.のファンになった話
この記事は、私の会社の先輩の話である。
本名を出すのは憚れるので、便宜上「岩尾さん」と呼ぶことにしよう。
岩尾さんは5つ年上で、会社では2年先輩だ。
出会いは私が入社した時なので、3年半程前になる。
第一印象では「この人ちょっとキツそう」と思ったが、それも取り越し苦労で、実際はとても気さくで優しい人だった。
会社での立場が近い私たちは、仕事の愚痴をこぼし合ったりするうち、次第に仲良くなっていった。
笑いのツボや感覚が似ているのか、マニアックなネタも拾い合えて、大笑いできた。
そんな関係が心地よく、私は舎弟のように岩尾さんを慕うようになった。
そんな中、すっかりライトファン*1になっていた私がひょんなことからジャニーズJr.に嵌り、晴れてジャニヲタに返り咲いたのだった。
もちろん私は、岩尾さんにジャニーズJr.の話をした。
実は彼女も、若かりし頃に山Pの追っかけ*2をする程のファンであったそうなので、ジャニーズに関しては理解が深かった。
彼女は馬鹿にしたような笑いを浮かべながらも、私の話を聞いてくれた。
画像を送りつけたりしているうちに、少しずつジャニーズJr.*3を覚えていったようだが、ジャニーズJr.には興味を示さなかった。*4
そんな岩尾さんだったが、ある日偶然見たという「キスマイBUSAIKU!?」をきっかけに、Kis-My-Ft.2に興味を持ち始めたようだった。
有線(チャンネルは「J-POP 2000’s Hits」)でキスマイの曲が流れるたびに歓喜していたので、彼女の誕生日にはキスマイの良曲を集めたCD-Rをプレゼントした。
岩尾さんはすっかりキスマイに嵌り、北山宏光ファンを自称し始めた。
岩尾さん想いの私は、藤ヶ谷ファンの友人に頼んでチケットを取って貰い、
2014年のキスマイのライブツアーの東京ドーム公演に3人で入った。
岩尾さんは生で見るキスマイに感激していた。
それからというもの、来る日も来る日も「みっくん!みっくん!」と、熱に浮かされていたので、滝沢歌舞伎の観劇に誘ってみたところ、二つ返事で「行く」と答えた。
岩尾さんは既にThey武道とSnow Manを認識していたので、予備知識は十分であった。
しかし、その認識というものがひどいものであった。
They武道について
- 江田くんについては、私がワーワーうるさいので完璧に覚えている。
- 山本くんについては、「りょうちゃん」という音で覚えている。黒髪がお好みのご様子。
- 林くんについては、名前すら覚えられないようで、謎に「ぶどうちゃん」と呼んでいる。顔が好みでないだの、唇が薄すぎるだの散々ディスられる。
Snow Manについて
- 佐久間くんについては、私がワーワーうるさいので完璧に覚えている。
- 宮舘くんについては、HUNTER×HUNTERのセンリツ*5呼ばわりである。ひどい言われようだ。
- 他四名については、うろ覚え。(岩本くんと渡辺くんが混同)
上記の通り、林くんと宮舘くんについてはお気に召さないご様子。
(お気を悪くされた該当担さんは申し訳ないです。岩尾さんの好みの問題ですし、冗談交じりですので悪しからず。)
そして来る、2015年4月25日。
「ガキパラ天国」の観覧振りに生タッキーを見るという岩尾さんは、二日酔いで現れた。
大好きなみっくんを生で見られるとなって、緊張して眠れず、ついつい深酒をしてしまったのだろう。という事にしておいた。
私たちは喫茶店で食事を済ませてから、新橋演舞場へ向かった。
座席は1階だったが、ステージフォトを購入する為に2階の売り場へ向かった。
岩尾さんは林くんと宮舘くんの写真を見つけて、笑っていた。
座席へ着くと、私は彼女にこう説明した。*6
「林くんは確かに静止画だとイマイチな時もある。しかし、動いている彼はとてもかわいい。そしてかっこいい。だから、岩尾さんは動いている林くんを見たら好きになっちゃうかもしれない。」と。
すると、「ぶどうちゃんは静止画がもれなくイマイチだから、実物もイマイチだと思うよ。」と毒づく。
この人はまったく、何もわかっておらん。今に見ておれ!と思っていると、幕が開いた。
江田くんは安定のかっこよさとかわいさで私を魅了し、1幕が終わった。
休憩時間、岩尾さんは口を開いた。
岩尾「ねえ!ちょっと!ぶどうちゃん(林くんのこと)、いい!」
ぽん「ほら見たことかーーーー!!!(大声)」
私のテンションは最高潮に達した。
岩尾「ぶどうちゃんを目で追っちゃう自分がいた…」
ぽん「それは恋やと、ぽんちゃん思うよ?」
岩尾「恋かな?」
ぽん「恋だな」
岩尾「恋か…」
突然の恋愛相談が始まる。
ぽん「みっくんはどうだった?」
岩尾「正直、みっくんよりぶどうちゃんをずっと見ていた…」
ぽん「!!!! これから共にThey武道を応援していこうな!!!(握手)」
自分が好きなものを、誰かが好きになるということは、なんて幸せなことなんだろう。
私は無上の多幸感に包まれていた。
岩尾「あとね、センリツもいい…」
ぽん「そうだよ!だて様は!!動きが繊細で美しいのだよ!!!(大声)」
岩尾「うん…すごいよかった…」
ぽん「ほーら!言わんこっちゃない!」
皆さん、信じられるだろうか?
彼女はつい1時間前まで、散々林くんと宮舘くんをディスっていた。
それがどうだい?
その二人に嵌っちゃっているではないか!!!
岩尾さんは2幕もその二人を見ていたのだという。
シャドーダンスではどっちを見たらいいかわからなかったとのこと。
(江田くんを見るのが正解だとアドバイスするもシカトされる。)
そして、彼女は帰りの電車の中でその二人のことを調べたり、
私がLINEで送った画像などを見返していたという。(今日も会社で画像検索をしていた。)
ジャニーズJr.はメディアに出る機会が少ないので、こういう形でファンを増やしていくしかない。
今回、林翔太くんと宮舘涼太くんは、岩尾さんという新規ファンの獲得に成功した。
マイナスからのスタートだったので、余計に岩尾さんの気持ちも高ぶっているのではないかと思う。
そもそも岩尾さんはみっくんを見に来ているはずなのに、その二人に目を奪われていたというのが驚きだ。
これはみっくん云々という話ではない。
ジャニーズJr.である二人が、岩尾さんの目を引く程、魅力的な演技を見せたのだろうと思う。
舞台を観に来ている人が必ずしもファンなわけはないし、リピーターなわけでもない。
一回一回の公演を大切に全力で取り組んでいるからこそ、初見の岩尾さんの心にも届いたのかもしれない。
そんな彼らの頑張りが報われたような気がした。
人が誰かのファンになる瞬間が、こんなに美しいなんて。
そうやって、彼らの頑張りがどんどん報われていって欲しいと思う。
いつか、彼らの願いが叶うように、
前を向いて歩むその背中を押せるように、微力ながら応援させて欲しいと思う。
広い会場のメインステージでスポットライトを浴び、キラキラの衣装を身に纏って歌い舞う姿を、大きな顔が写された団扇を持って見つめたい。
こんなに夢が拡がるなんて、ジャニーズJr.のファンになってよかったと心から思う。
余談。
滝沢歌舞伎観劇前に、安井くんは出演するのか確認されたので、あいにく出演しない旨を伝えたのだが、2幕の最後のWith Loveで流れる稽古風景で岩尾さんは安井くんを見たという。
誰と間違えたのやら。